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2024.06.17

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米国エグゼクティブの京都観光をご案内

西芳寺を取り巻く竹林
西芳寺を取り巻く竹林
西芳寺の池泉回遊式庭園の心字形の池
西芳寺の池泉回遊式庭園の心字形の池
中門に向かう石畳
中門に向かう石畳

こんにちは、立志社の今津です。

先日、アメリカ人2名と日本人1名の3名様の京都観光を、お手伝いさせていただきました。
1人目は、米国でも有数の歴史を誇る大学院大学、ビジネススクールの学長の方。
2人目は、その弟君で投資家の方。3人目は、そのビジネススクールの卒業生で、
同大学の評議員や同窓会役員もされ、金融界で活躍されている日本人の方です。

以下に、その様子をご案内いたします。

普段忙しい毎日をお送りになっているビジネスマンの、「忙中閑あり」。
つかの間の京都での休日で、さて、何処にお連れしたものか。

京都は初めてなので、メジャーな観光スポットも周りたいという。何処だ?何処行きたい?


 

数ある米国ビジネスマンの中でも、有名でその人となりも分かり、日本大好き、京都大好きだった
Appleの創業者、Steve Jobsさんが、感銘を受け、好きだった場所を、テーマにし、その場所を
スケジュールの中に入れて、組み立てることにしました。

そこで、Steve Jobsさんの十年来の運転手だった大島浩ドライバーのブログから、
ご本人の了解を得て、今回の京都観光の行程の参考にさせていただきました。
数ある神社仏閣の中で、西芳寺と龍安寺がお気に入りだったそうです。

おっと、たいへんです。大好きだった場所の1つ、西芳寺さんは、
1か月前の消印で、往復はがきにて拝観の申請をしなければなりません。
しかも、本人の名前、連絡先、生年月日まで記入をしないと。大ピンチです。
まだ、この時は、1人の名前しか判明していなかったからです。
でも何とか、ご予約をいただくことが出来ました。よかった。



 

朝お迎えに上がった際に、本日の予定と、Jobsさんの言葉を借りて、
京都のどういう所に関心を持ったのか、お好きになった寺院には、
どういう点で関心を持ったのか、についてご案内したものを、差し上げました。

そして、いざ出発です。
西芳寺に向かう車の中で、このご案内を読んでいただき、
本日の京都観光の楽しみを、より喚起していただけたようでした。

ただ、出発は10分遅れとなりました。
弟君が、「この遅れが、後々響かないといいけれどね」
とおっしゃっていましたが、
残念なことに、その通りになってしまいました。

西芳寺では、10分遅れで到着し、写経をして心を落ち着けた後、
いよいよ庭園散策に向かいました。

観音堂の前の坂を下りてゆくと、いよいよ黄金池と100種類以上の苔
がお迎えしてくれる庭園です。



 

西芳寺の庭園に入ったところにて
西芳寺の庭園に入ったところにて

次の、予定だった龍安寺は、Jobsが大好きだった場所。
しかし、移動時間の関係で、バタバタとなりそうでした。

この後の、妙心寺退蔵院までの時間に昼食をとる予定。
そこから合流する予定の日本人の方が、
もう昼食場所に来ているだろうからと、
学長は龍安寺を飛ばす決断をされました。
それで、逆に早めに昼食会場に。
その言葉通り、日本人の方は既に到着されていました。

退蔵院山門前にて
退蔵院山門前にて
江戸時代の「都名所図会」にも、岩の切れ目が描かれた「元信の庭」。200年以上前から変わらずここにあるんですね。
江戸時代の「都名所図会」にも、岩の切れ目が描かれた「元信の庭」。200年以上前から変わらずここにあるんですね。
最後にお抹茶の接待で、お茶一服をいただく。
最後にお抹茶の接待で、お茶一服をいただく。

そこで、少し早めに退蔵院に入れるように電話を入れて、
逆に10分前に到着しました。

妙心寺塔頭退蔵院の副住職の松山大耕さんは、京都の仏教界でも、
ローマ法王など海外の宗教者への訪問、ダボス会議への出席など
英語で、仏教、禅宗のことなどを説明できることで知られています。

この日は、座禅の作法、ご自分の部屋でもできる方法、国宝「瓢鮎図」
に見る、禅の公案(こうあん)を通しての、考え方の鍛え方。

日本でのビジネスのやり方と、欧米でのビジネスの進め方の違い、などお話しいただく。

例えば、ご自身の奥様のお父様がされていた有名な料理店は、少人数のカウンター
だけのお店でしたが、いいお客様にも恵まれて、単価も高く、利益も出て、
ご主人の満足度も高かった。それが京都では成立する、いい商売なんです。

しかし、ニューヨークではどうなるでしょうか。商売として成り立たせるために、
お店も拡張しなければならないし、多くのお客様を相手にしなければならないことで、
価格も下るかもしれない。どちらがご主人にとって幸せなのでしょうか。

また、京都の老舗は共通して、競争ではなく、自己を高めることにフォーカスしている。
そういう経営者としての姿勢が、いま世界でも認められつつあるのではないでしょうか。

ビジネススクールの学長、ビジネスシーンでタフな現実と向き合う
投資家、金融機関で実績を残された日本人の方にも響いたお話でした。
 

常識では答えの得られない公案のテーマをどう考えていくか。興奮の冷めやらぬ皆様。
常識では答えの得られない公案のテーマをどう考えていくか。興奮の冷めやらぬ皆様。
国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」。瓢箪の中にそれよりも大きなナマズをどうとらえるか、という一見不可能な課題に当時の31名の高僧が答えを書いたもの。(退蔵院HPより)
国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」。瓢箪の中にそれよりも大きなナマズをどうとらえるか、という一見不可能な課題に当時の31名の高僧が答えを書いたもの。(退蔵院HPより)
美しい姿に感動を誘う金閣寺。
美しい姿に感動を誘う金閣寺。
「本物の金が使われているのか?」とつい質問が出ました。    金箔が張られていて本物です。
「本物の金が使われているのか?」とつい質問が出ました。    金箔が張られていて本物です。

金閣寺では、ガイドの長岡賢二さんが、消失前の金閣寺の写真を、
皆さんにご覧いただきながら、説明をして下さいました。
焼失した当時の金閣寺は、金箔が剝がれていたんですね。

長岡さんは、元々英語の教師をされていて、タクシー運転手をしながら、
全国通訳案内士(英語)の国家資格を取得されました。6人乗りの車で、
京都でも、引く手あまたの、英語ガイド兼個人タクシードライバーです。

吾唯足知の手水(ちょうず)の前にて。
吾唯足知の手水(ちょうず)の前にて。
我(吾)ただ(唯)足るを知る。真ん中の◇(四角)が共通の漢字で、禅の教えを表現した言葉
我(吾)ただ(唯)足るを知る。真ん中の◇(四角)が共通の漢字で、禅の教えを表現した言葉
世界遺産のシンボルマーク。龍安寺の手水を図案化したものといわれている。
世界遺産のシンボルマーク。龍安寺の手水を図案化したものといわれている。

龍安寺の石庭には。15の石がある。
しかし、普通に見ると13,14しか見えない。
15というのは、日本では特別な数字。
15歳で元服(成人とみなされ)、
十五夜(じゅうごや)は満月の事。

つまり、15には完成された数字という意味がある。
13,14しか見えない私たちというのは、
まだ完成される前の姿だとわかる。

Jobsさんは、「日本の禅宗は素晴らしく美的だと思う。特に京都にある庭園が素晴らしい。その文化が醸し出すものに、深く心を動かされる。」という。


龍安寺は、Jobsさん同様、ご一緒した日本人の方の大好きな寺院で、飛ばしたことを
たいへん残念がっていらした。逆に遅い時間に行くことになり、ご一緒できてよかったです。

京都の三大祭りの一つ「祇園祭」を主宰する八坂神社。
その宮司に就任された野村明義様に、お時間をいただき、
神道の考え方、SNSを使う若者への接し方などいろいろお話を伺いました。

神道には、自然を愛すること、水を大切にするという考え方があり、
自ずと若者にも、自然を大切にするという姿勢が伝わているのではないでしょうか。

人口の減少、マーケットの縮小から、必然的にグローバルな展開となります。
しかし、これに対応すためには、競争や拡大戦略をやるだけではだめですね。
サステナブルな社会構築が、今後益々必要となってくるのではないでしょうか。
というお話でした。

その後、本殿参拝し、特別に本殿裏のお参りもご案内いただきました。

Jobsさんは、「京都には本物がある、歴史が長く、目立たなくても、
ディテール(細部)に凝った本物がある。」とおっしゃっています。

京都では、寺社ばかりでなく、伝統工芸もご覧いただきたいと思いました。
そこで、ご主人が浮世絵コレクターであると知り、まずは京都の骨董街の、
新門前の浮世絵ショップへ。その後は、漆器の「象彦」さんに伺いました。

象彦さんは、最近「寺町本店に移転して10周年記念の特別展示会」があり、
まだその展示自体は、そのままだというので、見させていただくことに。

鎌倉時代の作品を写したものや、年代時代を感じさせる作品を拝見できました。
漆(うるし)の英語名を「Japan」というだけに、素晴らしい作品が目白押し。
こうした作品をご覧になった後、驚いたことに、皆さん商品をお買い上げに。
「ショッピングになっちゃったね!」と、車内で大笑いとなりました。

夕食は、私が18年前まで総支配人を務めていた「hana吉兆」(当時は花吉兆)です。

今朝お迎えに上がった時に、「夕食に吉兆という有名なレストランに行くのに、
こんなカジュアルな服装で行ってもいいのかな。一旦、戻って着替えるか?」
とずいぶん心配していらっしゃいました。

「元総支配人が『いい』といっているんだからいいんです」と言いました。笑

祇園の吉兆は、気軽においしいものを楽しんでいただければ、
それだけでいいんです。

店頭の「夏越の祓え(なごしのはらえ)」を模した、
大きな茅の輪を潜って、ご入店。

後日、大変喜んでいただけたというメールを頂きました。

さて、皆さんの、京都観光の参考になりましたか?
この夏、旅行サービス手配業を立ち上げる予定です。
いつでも、ご相談くださいね。
 

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